障害年金をもらえる3つの条件とは?申請前に知っておきたい基本情報

江東区で障害年金の申請サポートをしている「心と福祉とお金に強い社労士」西川です。

こちらは「障害年金をもらえる条件」について、全体像をざっくり解説しています。

目次

障害年金をもらうための3つの条件

障害年金は、病気やケガで日常生活が難しくなったときに、国からお金がもらえる制度です。
しかし、障害があれば誰でももらえるわけではなく、3つの条件をクリアしていなければもらえません。
この記事では3つの条件についてお伝えします。

障害年金をもらうためには、大きく分けて3つの条件があります。

①初診日に年金に加入していること(初診日要件)
②年金の保険料を支払っていること(保険料納付要件)
③障害の程度が一定以上であること(障害状態該当要件)

この3つの条件をすべてクリアしていないと障害年金はもらえません。

①初診日に年金に加入していること(初診日要件)

障害年金をもらうためには、まず年金に加入していることが大前提です。
たとえば、20歳前で働いていない人は年金に加入できないため、いくら障害の程度が重くて日常生活に不自由があったとしても、障害年金をもらうことができません。

この場合、20歳になってから障害基礎年金の申請ができます。
国民年金に加入できるのが20歳だからです。

公的年金は「国民年金」と「厚生年金」の2つがあり、会社に就職すると厚生年金に自動的に入ることになります。
ちなみに20歳前で働いている人(厚生年金加入者)は、20歳前から障害厚生年金をもらうことができます。

たとえば、16歳で働いて厚生年金に加入し、すぐに病気やケガで障害等級(1~3級)に該当する状態になった場合は20歳前でも障害厚生年金がもらえます。1級、2級であれば配偶者加算ももらえます。
ただし、障害基礎年金は20歳にならないともらえません。

そして大切なのは、初診日に年金に加入していることです。

初診日とは、ケガや病気で初めて医師の診療を受けた日です。
この初診日は、次の「②年金の保険料を支払っている」「③障害の程度が一定以上であること」という条件にも大きく関わります。

また、初診日を証明できなければ、障害年金の審査は通りません。
初診日の証明は、病院で初診日を証明する書類(受診状況等証明書)をもらって証明します。

「初診日を証明できること」を含め、4つの受給要件として説明されるケースもあります。

初診日要件を詳しく解説した記事

②年金の保険料を支払っていること(保険料納付要件)

障害年金をもらうには、年金に加入していることが必要ですが、加入しているだけで保険料を支払っていなければ障害年金はもらえません。

保険料納付要件(3分の2要件)

障害年金では、「いつの時点」で「どの期間」において「どの程度」保険料を払っているかが問われます。

いつの時点初診日の前日
どの期間年金加入日~初診日のある月の前々月までの期間
どの程度3分の2以上払っている、または免除(猶予も可)されている
保険料納付要件(3分の2要件)

仮に初診日以降に保険料を支払っていなかったとしても、こちらの納付要件には関係がありません。
初診日の前日までに保険料を支払っているかどうかが問われます。
そのため、初診日の当日に保険料をさかのぼって支払ったとしても、こちらの納付要件に関しては、支払っているとはみなされません。
繰り返しますが、あくまでも「初診日の前日」に3分の2以上支払っているという納付要件を満たしていなければなりません。

ここで大切なのが「免除」や「猶予」でも、支払いの計算に加えてよいということです。

極端な話、国民年金の加入月(20歳誕生日の前日の属する月)から初診日まで、ずっと保険料免除であっても納付要件を満たすことになります。

経済的な事情で国民年金が支払えないときは、保険料の免除または猶予の手続きを必ずしておくことが極めて大切です。

保険料納付要件の特例

この納付要件には特例があります

この特例では「初診日が何歳」で「どの期間」において「どの程度」保険料を払っているかが問われます。

初診日が65歳未満の人が対象となりますが、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がなければ、納付要件を満たしたことにしてくれます。

初診日の年齢65歳未満の方が対象
どの期間初診日のある月の前々月からさかのぼって1年間
どの程度未納がないこと(支払っている or 免除 or 猶予 or 納付不要60~65歳)
保険料納付要件の特例

たとえば、40歳で2024年10月1日に初診日がある場合、2023年9月~2024年8月の期間に未納がなければ、3分の2要件を満たしていなくても、障害年金の保険料納付要件を満たしているということになります。

ちなみに、免除や猶予は「未納ではない」ため、その期間がずっと猶予でも納付要件は満たしたことになります。

保険料納付要件を詳しく解説した記事

③障害の程度が一定以上であること(障害状態該当要件)

障害年金をもらうには、障害の状態が定められた基準を満たしている必要があります。

障害年金では、「いつの時点」で「どの程度」の障害かが問われます。

いつの時点障害認定日(初診日から1年6か月後or症状固定日)
どの程度障害等級表に定められた1級~2級(障害基礎)~3級(障害厚生)に該当

たとえば、少し手が動かなくなった場合、日常生活で困ることになりますが、その程度では障害年金をもらうことはできません。
日常生活に大きな支障をきたすほどでなければ、障害年金をもらうことはできないのです。

ただし、障害認定日の時点では障害の基準を満たしていなくても、あとから障害の基準を満たした場合は、障害年金を申請することができます。その場合、障害年金が支給されるのは申請の翌月からになります。また、65歳の誕生日の2日前までに申請しなければなりません。

障害の程度は「等級」と呼ばれる基準によって分けられています。
1級がより重い症状です。

障害基礎年金1級、2級
障害厚生年金1級、2級、3級

障害基礎年金と障害厚生年金では、対象となる等級に違いがあります。
たとえば、障害が3級に該当する場合、障害厚生年金しかもらえません。

障害の等級がどの程度の障害状態かは、どの部位の障害かによって基準が異なります。
詳しくは、障害認定基準に書かれています。

この基準を満たすかどうかは、医師の診断書日常生活の状況で判断されます。

障害状態該当要件を詳しく解説した記事

まとめ&初診日が大切な理由

障害年金をもらうには、次の3つの条件をすべて満たしていなければなりません。

①初診日に年金に加入していること(初診日要件)
②年金の保険料を支払っていること(保険料納付要件)
③障害の程度が一定以上であること(障害状態該当要件)

この記事では全体をお伝えしましたが、別の記事でそれぞれの要件について詳しく見ていきます。

この3つの条件では、すべて初診日が関わってきます。

  • 初診日によって、年金の種類(障害基礎年金か障害厚生年金か)が決まる
  • 初診日によって、保険料納付要件を判断する時期が決まる
  • 初診日によって、障害認定日が決まり、その時点の障害状態を判断する

障害年金では「初診日が大切です」とよく言われるのは、このような理由があるからです。

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