障害者手帳と障害年金の違いをわかりやすく解説

江東区で障害年金の申請サポートをしている「心と福祉とお金に強い社労士」西川です。

こちらでは、障害者手帳と障害年金の違いについて解説しています。

目次

障害者手帳と障害年金の大きな違い

障害者手帳と障害年金の大きな違いを2つ挙げると、目的もらえるものです。

まず、何がもらえるかについての違いです。

障害者手帳でもらえるものは、割引やサービス、優遇措置です。
障害年金でもらえるものは、お金です。

障害者手帳と障害年金では目的が違うため、もらえるものが異なります。

障害者手帳の目的は、障害のある人が生活でサポートを受けられるようにすることです。
障害年金の目的は、障害で日常生活や就労に支障が出た人にお金を提供して生活を支えることです。

また、対象となる障害状態や、申請方法なども違いますが、まずは「目的」と「もらえるもの」が違うということを押さえておいてください。

制度もらえるもの目的
障害者手帳割引やサービス、優遇措置障害のある人が生活でサポートを受けられる
障害年金お金障害で日常生活や就労に支障が出た人の生活を支える

障害者手帳をもらえれば障害年金ももらえる?

障害者手帳と障害年金の目的ともらえるものが違う以上、審査内容や基準が変わります。
これらは審査機関が異なり、障害者手帳は地方自治体が審査し、障害年金は日本年金機構が審査します。

そのため、障害者手帳を持っているからといって、必ずしも障害年金をもらえるわけではありません。
また、障害者手帳を持っていなくても、障害年金を受給できることもあります。

障害者手帳を持っていないからという理由で、障害年金をあきらめる必要はありません。

障害者手帳も障害年金も、もらうには申請が必要です(手続きなしに自動的にもらえるものではありません)

制度審査・運用機関下記の法律に基づく
障害者手帳地方公共団体身体障害者福祉法等
障害年金日本年金機構国民年金法・厚生年金保険法

障害者手帳とは?

障害者手帳は、障害がある人が生活しやすくなるように、いろいろなサポートが受けられる証明書のようなものです。

障害者手帳には3つの種類があり、「身体障害者手帳」「療育手帳(愛の手帳)」「精神障害者保健福祉手帳」があります。

手帳の種類説明
身体障害者手帳目が見えにくい、耳が聞こえにくい、手や足が動かしにくいなど、体に障害がある人がもらう手帳です。
療育手帳知的な障害がある人がもらう手帳です。知的な障害とは、考える力や学ぶ力に障害がある状態のことを指します。
精神障害者保健福祉手帳うつ病や統合失調症、自閉症などの精神的な障害がある人がもらう手帳です。

療育手帳は、地域によって名称が異なる場合があります。
東京都では、愛の手帳と呼ばれています。

手帳には、障害の重さによって等級がつけられます。等級の違いによって受けられるサービスが異なります。

東京都の等級設定

手帳の種類等級設定有効期間
身体障害者手帳1~6級(1級が最も重い)なし
愛の手帳(療育手帳)1~4度(1度が最も重い)なし
精神障害者保健福祉手帳1~3級(1級が最も重い)2年間

身体障害者手帳は、一般的に有効期間がありませんが、都道府県や自治体によって個別のケースで異なる場合があります。

障害者手帳で受けられるサービスの例

障害者手帳で受けられるサービスは多岐に渡りますが、身体障害者手帳では、下記のようなものがあります。

  • 障害福祉サービス(介護給付、訓練等給付など)
  • 心身障害者(児)医療費や自立支援医療費など助成・給付
  • 日常生活用具の給付
  • 特別児童扶養手当などの各種手当の支給
  • 公営住宅の優先入居
  • 税金の減免
  • 鉄道運賃などの割引(交通関係)
  • 水道料金などの各種料金の減免

介護保険のサービスを利用できる方は、介護保険が原則優先となります

障害者手帳でも、お金の支給があり、たとえば江東区では、身体障害者手帳1・2級、愛の手帳1・2・3度の方は月額15,500円(20歳~65歳未満)支給されます。

江東区の障害者福祉のてびき

ぼたん社労士事務所がある江東区では、「障害者福祉のてびき」に障害のある方に対する福祉サービスの内容と利用方法がまとめられています。

各地方自治体にも同様のものがあると思いますので、お住まいの地方自治体で探してみてください。

福ナビ(とうきょう福祉ナビゲーション)

障害者手帳についてより詳しくお知りになりたい方は、とうきょう福祉ナビゲーションのページがコンパクトにまとめられていましたのでリンクを張っておきます。東京都にお住まいの方はご参考まで。

障害年金とは?

障害年金は、病気やケガ、障害によって日常生活や仕事に支障が出たときに、その人の生活を助けるためにお金がもらえる制度です。

障害基礎年金と障害厚生年金の2つがあり、厚生年金に加入している人は両方が対象となります。

障害年金をもらうには3つの条件を満たす必要があります。

①初診日に年金に加入していること
②年金の保険料を支払っていること
③障害の程度が一定以上であること

障害年金の全体像については下記の記事をご参照ください。

障害年金でもらえるお金の例

障害年金には等級があり、1級が一番重く、2級、3級とあります。
但し、3級があるのは障害厚生年金のみです。

障害厚生年金3級は、最低保証額があり、その額は令和6年度で612,000円(月額51,000円)となっています。そのため、最低でもこの額が支給されることになります。

障害年金には、配偶者加算(障害厚生年金)、子の加算(障害基礎年金)があり、障害厚生年金は、収入が多い人、加入期間が長い人ほど、支給金額が多くなります。

たとえば、下記のケースで令和6年度の支給金額を計算してみます。

35歳会社員。妻34歳、8歳、5歳の子の4人世帯。障害認定日までの厚生年金加入期間は12年。平均標準報酬額400,000円。障害は2級相当。初診日に厚生年金加入。

このケースでは、障害基礎年金と障害厚生年金を合わせて年額2,175,720円(月額181,310円)となります。

障害年金でいくらもらえるのかについては、下記の記事で具体例を書いていますのでご参照ください。

障害者手帳と障害年金の申請の違い

障害者手帳と障害年金の違いで大きいのが、申請の大変さです。
障害年金のほうが、申請に手間がかかります。

障害者手帳は、障害状態に該当していればよいため、申請がシンプルです。

たとえば、江東区で身体障害者手帳を申請する場合に必要なものは下記になります。

  • 指定医の診断書・意見書
  • 写真
  • 印鑑
  • マイナンバーカード

障害者手帳と障害年金の「申請から送金までの期間」の違い

障害年金は、障害状態に該当する以外に、初診日に年金に加入していること、年金の保険料を支払っていることが条件になるため、揃える書類が増え、申請から送金されるまでの期間が長くなります。

種類申請から交付にまでの期間の目安
身体障害者手帳1か月
療育手帳(愛の手帳)1~2か月
精神障害者保健福祉手帳2か月
障害厚生年金4か月半~6か月

申請にかかる準備期間も、障害年金のほうが長くなることから、準備開始から送金されるまでの期間の差はもっと大きくなります。

違いのまとめ

障害者手帳と障害年金の違いを説明しましたが、簡単にまとめます。

  • 障害者手帳と障害年金は異なるもの(目的・もらえるもの・運営機関などが異なる)
  • 障害者手帳を持つことで、割引やサービス、優遇措置を受けられる
  • 障害年金の審査に通れば、お金が支給される
  • 障害年金のほうが申請に手間がかかり、申請から送金されるまでの期間が長い
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