「障害年金でなぜ「初診日」が採用されたのか?なぜ「1年6か月経った後」なのか?理由を解説します

江東区で障害年金の申請サポートを行っている「心と福祉とお金に強い社労士」西川です。

障害年金をざっくり言えば、初診日から1年6か月経った障害認定日に、障害状態に該当していれば、請求することでもらえる制度です。

年金を支払っているという前提です。例外もあります。

ここで、疑問がありませんか?

障害状態に該当していれば、障害年金がもらえるのはよく分かる。でも、なぜ初診日?なぜ1年6か月経った後なの?

この記事では、この疑問に答えたいと思います。

目次

障害年金の目的

障害年金の目的をざっくり言えば、日常生活能力や労働能力が失われたことによる生活保障をすることです。

私たちは、ケガや病気によって、日常生活・労働能力が失われる可能性があります。
これはいつ誰に起こるかは分かりません。
これをリスクとして捉えたとき、社会全体として、このリスクをカバーしようとするのが社会保険です。

国家の制度として、年金制度があり、老齢年金、障害年金、遺族年金の3つがありますが、このリスクをカバーするのが障害年金です。

日常生活能力や労働能力が失われると、働くことに支障が出るため、収入が減ったり無くなったりします。
これを補うために障害年金があります。

なぜ1年6か月経った後なの?

ケガや病気になって、障害状態になって、その状態がずっと続くこともありますが、治療によって治るケースもあります。

たとえば、「うつ病になりました。3か月休職し、治療することで、会社に復帰することができました」という場合、うつ病になったときに、すぐに障害年金を申請して受給できれば、3カ月後からは会社に復帰して給料をもらいながら、障害年金を受給できるということができてしまいます。

そのため、ケガや病気になって、ある程度の期間が経っていて、その時点で障害状態であるということが求められます。

そして、そのある程度の期間というのが1年6か月と決められているというわけです。

ただ、この期間を1年6か月とした合理的理由は、私はよく分かっていません。

解答になっていなくてすみません。
どなたか知っている人がいれば教えてください。

一説によると、傷病手当の1年6か月という期間に合わせて設定されたという説があります。
ただ、それは本質的理由ではないと思うので、制度を作った人が別の合理的理由があって決めたのだと思われます。

私の推測になりますが、1年未満では判断が早すぎ、2年以上では保障が遅すぎ、その中間の1年半が現実的な線引きと考えたのかなと思います。

1年6か月以内に治った(その症状が固定し、治療の効果が規定できず、障害の状態が残っている)場合は、その日を障害認定日として判断されます。
また、心臓ペースメーカーを装着した日や、人工関節を置換した日などは、1年6か月以内でもその日が障害認定日とされます。

なぜ初診日が採用されたのか?

ケガや病気になって、一定期間経った時点で障害状態に該当していれば、障害年金を受給できるということですが、ケガや病気になった日を「発病日(発症日)」とすると、本来は発病日が重要になります。

発病日を採用したとき、発病日を証明し、一定期間経った時点での障害状態を証明する必要があります。

このとき、発病日はどうやって証明すればよいのでしょうか?

障害年金の診査は書類審査なので、客観的な証明が求められます。

発病日を証明するのは難しいケースがほとんどです。
それだと、ほとんどの人が受給できないことになってしまいます。

そのため、発病日の代わりとして、初診日が採用されたのです。

初診日であれば、医療機関で証明することが可能で、それが客観的な証拠となります。

一般的に、発病したらすぐに病院に行くだろう。そこが初診日となるが、「発病日=初診日」と考えてもおおよそ問題ない。

そう考えることが想像できます。
そして実務上、発病日ではなく初診日が採用されたのではないかと考えられます。

障害年金制度の定期的な見直しが必要

ルールというのは、ある一定の枠組みを作ることです。
枠を作ると、どうしてもそこから漏れてしまう人が出ます。
例外も発生します。

そのため、同じ障害状態でも、障害年金をもらえる人ともらえない人がいたり、額が違ったりすることがあります。

そういった不公平が出ることは避けられませんが、なるべく少なくする必要があります。

そのためには、一旦ルールを作っても、それを絶対的・固定的にするのではなくて、必要性や実態に応じて、また社会の変化に対応して、ルールを変えていくことが望まれます。

障害年金のルールは、どうしても一律の線引きが必要になるため、不公平や例外は避けられません。
だからこそ、社会の実態に合わせて適切に見直されることが望ましいと感じています。

ただし、現行の制度でも請求できるケースは多くあります。制度は複雑で例外も多いため、「自分は該当するのかな?」と疑問を持たれた方は、専門家にご相談いただければと思います。

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