江東区で障害年金の申請サポートを行っている「心と福祉とお金に強い社労士」西川です。
私は、障害年金の申請を専門とする社会保険労務士ですが、この仕事を始める前に、コンサルタントの話を聞く機会がありました。
そこでは、
障害者の人数に比べて、障害年金を受給している人は圧倒的に少なく、このギャップを埋めるために、社会保険労務士が申請をサポートする意義がある
というようなことが語られていました。
そのときは「そうなんだぁ」と受け止めていましたが、その後統計を調べてみると、単純に「障害年金の受給率は低い」と結論づけるのはミスリードではないかと感じるようになりました。
障害年金の受給率を推定する
障害者の人数ですが、内閣府「障害者白書(令和7年度版)」の数値を用います。
| 身体障害者 | 423万人 |
| 知的障害者 | 126.8万人 |
| 精神障害者 | 603万人 |
| 合計 | 1152.8万人 |
「国民の9.3%が何らかの障害を有していることになる」と記載されています。
但し、上記の精神障害者数は、医療機関を利用した精神疾患のある患者数となっています。
一方、障害年金を受給している人の人数は下記の通りです。
令和7年12月に厚生労働省年金局から出されている「厚生年金保険・国民年金事業の概況(令和6年度)」の数値を用います。
| 障害基礎年金 | 222万人 | 共済含まず。受給権者は233万人 |
| 障害厚生年金 | 55万人 | 共済含まず。受給権者は74万人 |
基礎・厚生と重複してもらっている人もいるため、
合計人数≒障害基礎年金受給者(受給権者)+障害厚生年金3級受給者(受給権者)
となります。
計算すると、
| 受給者ベース | 222万人+55万人×40%=244万人 |
| 受給権者ベース | 233万人+74万人×40%=262万人 |
と推定されます。
受給者244万人÷障害者人数1153万人=21%
となり、「障害者の約2割しか障害年金を受給していない」ということになります。
これが、「障害者の人数に比べて、障害年金を受給している人は圧倒的に少ない」という数値根拠になります。
「障害年金の受給率は低い」というのは本当か?
この2割という数字だけを見ると、
障害年金制度は十分に機能していないのではないか
という印象を受けるかもしれません。
しかし、この受給率2割という数字をそのまま受け取ることには注意が必要です。
これは必ずしも障害年金の対象となるレベルの障害状態にある方の人数を表しているわけではありません。
また、身体障害者の中には、高齢になってから障害を負った方も多く含まれています。
そのため、障害者全体の人数を分母として障害年金の受給率を計算すること自体に無理があります。
そこで参考として、障害者手帳所持者数との比較を行ってみます。
内閣府「障害者白書(令和7年版)」によると、65歳未満の障害者手帳所持者数は約260.9万人です。
一方、障害年金受給権者数は約262万人と推定されます。
障害年金受給権者数262万人≒65歳未満の障害者手帳保有者数260.9万人
両者は制度上の対象範囲が異なるため単純比較はできませんが、少なくとも
「障害者のうち2割しか障害年金を受給していない」
というイメージとは大きく異なる結果であることは分かります。
障害年金の対象となり得る人の正確な母数を示す統計は存在しませんが、障害者数1153万人を分母として受給率を論じることには慎重であるべきだと考えます。
障害年金申請代行社労士の意義とは
私自身も以前は「障害年金を受給できていない人がたくさんいる」という説明をそのまま受け入れていました。しかし統計を見直してみると、実態はそれほど単純ではありませんでした。
とはいえ、
「障害年金制度が一定程度機能しているから社労士は不要である」
とは、なりません。
障害年金の審査では、診断書や病歴・就労状況等申立書の内容が重要な判断材料となります。
本来であれば受給できる状態にあっても、障害の状況が十分に伝わらなければ不支給となる可能性があります。
また、必要書類の収集や制度理解そのものが大きな負担となる方も少なくありません。
障害年金専門の社会保険労務士の役割は、市場を開拓することではなく、
「自力では申請手続きが困難な方に伴走し、適切な申請を支援すること」
にあると私は考えています。
確かな専門知識を基に、障害や病気を抱える方の負担を少しでも軽減し、安心して申請手続きを進められるよう支援していきたいと思います。


