障害年金をもらえる条件の一つ「初診日要件」を詳しく解説

江東区で障害年金の申請サポートをしている「心と福祉とお金に強い社労士」西川です。

こちらは、障害年金をもらえる3つの条件の一つである「初診日要件」について、詳しく解説しています。

目次

障害年金をもらうための3つの要件の1つ「初診日要件」

障害年金をもらうには、次の3つの条件をすべて満たしていなければなりません。

①初診日に年金に加入していること(初診日要件)
②年金の保険料を支払っていること(保険料納付要件)
③障害の程度が一定以上であること(障害状態該当要件)

この記事では、初診日要件について詳しく解説していきます。

初診日とは

初診日とは、障害の原因となった病気やケガについて、最初にお医者さんにかかった日のことです。

ただし、傷病名によって、初診日の考え方が異なるため、注意が必要です。
たとえば、先天性の知的障害では、初診日は生まれた日になります。その場合は障害基礎年金のみとなります

生まれた日に会社員で働いている赤ちゃんはいませんから障害厚生年金はもらえません

また、障害の原因となった病気やケガ(傷病A)の前に、関連が強い(相当因果関係がある)傷病(傷病B)がある場合、傷病Bについて初めて診療を受けた日が初診日となります。

他にもいくつかありますが、ここでは省略します。

初診日は他2つの要件に関わる

初診日が大切な理由は、②保険料納付要件、③障害状態該当要件というその他二つの要件にも関わってくるからです。

保険料納付要件の基準となる日は、初診日前日です。
障害状態該当要件の基準となる障害認定日は、初診日から1年6か月経過した日です。

いずれも初診日がハッキリしないと、要件に該当しているかどうか確かめられないことになります。

初診日が証明できなければ障害年金はもらえない

初診日は、3つの要件すべてに関わることなので、きちんと証明する必要があります。

初めに病院に行った日?覚えてないよ。確か3年位前かなぁ。適当で何とかならない?

初診日を特定しないと難しいです

基本的には「初診日は〇年〇月〇日です」ときちんと証拠を持って申請しなければなりません。

初診日がどうしても明らかにできない場合は、初診日が一定の期間にあることが証明でき、その間の保険料納付要件が満たされていれば大丈夫ですが、申請のハードルは相当高くなります。

初診日が証明できなければ、残念ながら障害年金をもらうことはできないのです。

どうやって初診日を証明するの?

では、どうやって初診日を証明すればよいのでしょうか?

病院で初診日を証明する書類をもらいます。
この書類は「受診状況等証明書」と呼ばれています。

ちなみに病院から「受診状況等証明書」をもらうにはお金がかかります。
病院によって金額は異なりますが、おおよそ3,000円から5,000円です。

初診日が分かって、受診状況等証明書(初診日証明書)がスムーズに取れればよいのですが、取れないケースがあります。

受診状況等証明書は、病院が診療録(カルテ)を見て作りますが、カルテの保存期間が義務づけられているのは5年です。
つまり、初診日から5年以上経っていると、カルテが破棄されて残っていないケースがあるのです。

また、病院が閉院して、カルテが残っていないこともあるでしょう。

その場合、ほかの方法で初診日を証明する必要があります。

初診日証明書が取れないときはどんな方法がある?

初診時の病院から、違う病院に転院している場合、転院先のカルテに発病日や初診日の記載があれば、転院先の病院で受診状況等証明書(初診日証明書)を取って、それで初診日証明となります。

その際は、初診時の病院で受診状況等証明書が取れなかった理由を書いた書類(受診状況等証明書が添付できない申立書)を提出する必要があります。
基本的には、初診時の病院で証明書を取らなければならず、それができない場合はきちんと理由を伝えなければなりません。

他にも初診日を証明できる可能性がある書類はいくつかあり、日本年金機構に紹介されています。

たとえば、障害者手帳を取得する際は診断書が必要ですが、その診断書には基本的に初診日が記載されているため、その診断書のコピーで初診日を証明できるでしょう。

また、診療報酬明細書(レセプト)には、医療費の明細が書かれています。それを見るとどのような診療を受けたかが分かるため、初診日を証明できる有力な資料になる可能性があります。

また、第三者証明と呼ばれる証明が認められています。

三親等以内の親族を除く、二人以上の第三者が当時の受診状況を書面に起こします。

親、祖父母、兄弟姉妹、叔父・叔母による第三者証明は認められません。
いとこは四親等なので認められます。

医療従事者(医師や看護師、薬剤師、理学療法士、精神保健福祉士など)であれば、一人の証明でも大丈夫です。

ただし、20歳以降に初診日がある場合は、第三者証明だけでは証明と認められず、診察券などの他の参考資料と合わせて提出することが求められます。

難易度が高い第三者証明

第三者証明は、初診日を証明する方法の一つですが、証明の難易度が高くなるため、安易に採用するものではないと考えます。

証明の信ぴょう性がなければ、証拠書類としては認められません。信ぴょう性が高い証明や他の書類との組み合わせ提出が望まれます。

どうやって書類を集めていくかについては、力量が問われるでしょう。

まずは医療機関からの証明取得に最大限の努力を尽くす必要があります。

初診日に年金に加入していること

初診日がハッキリし、その証拠書類がそろい、初診日を証明することができますが、その初診日に公的年金に加入していなければ、障害年金をもらうことはできません。

ただし、例外があって、20歳前が初診日の場合は、そもそも国民年金に加入することができないため、年金に加入してなくても認められます。
また、60歳以上65歳未満のときに初診日がある場合も同様に認められます(国民年金加入義務は20歳から60歳になるまでなので)

ここで問題になるのが、初診日に国民年金加入なのか、厚生年金加入なのかです。

2つの公的年金制度

日本には、「国民年金」と「厚生年金」という2つの大きな公的年金制度があります。

国民年金は、たとえば学生や自営業の人が入る年金で、20歳以上の日本国民ならほとんどの人が加入しています。

厚生年金は、会社で働いている人が加入している年金です。学校を卒業して会社に就職すると、この厚生年金にも自動的に入ることになります。

厚生年金加入時に初診日があるメリット

基本的には厚生年金加入時に初診日があったほうが、障害年金が多くもらえることになります。

国民年金加入の場合障害基礎年金のみ
厚生年金加入の場合障害基礎年金+障害厚生年金(1、2級の場合)

たとえば、うつ病で日常生活に支障が出ているケースで、会社員として働いていたときに体調不良となり、病院に行ったあとに会社を辞めていれば、障害厚生年金の対象となります。

このとき、「しんどいから会社を辞めてからゆっくり病院に行こう」と考えて、退職後に初めて受診をしたら、そこが初診日となります。
退職後は、厚生年金未加入(国民年金加入)のため、障害基礎年金しか受給できません。

受給額に大きな差が出ることになります。

体調が悪いときは、会社を退職する前に病院に行くことが、障害年金受給を考えるうえで、とても大切です。

まとめ

初診日は、障害年金をもらううえでとても大切です。

障害年金をもらうには、障害の原因となった病気やケガで初めて病院で診療を受けた日を明らかにして、それを証明しなければなりません。

記事をまとめると次の通りです。

  • 初診日とは、障害の原因となった病気やケガについて、最初にお医者さんにかかった日のこと
  • 初診日の証明は、医療機関が発行する受診状況等証明書などで証明する
  • 初診日に年金(国民年金か厚生年金)に加入していることが、障害年金をもらう条件
  • 会社員退職後に初めて病院を受診すると障害年金の額が少なくなるので、退職前に受診する
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