障害年金の受給要件「障害状態該当要件」とは?障害等級の違いを分かりやすく解説

江東区で障害年金の申請サポートをしている「心と福祉とお金に強い社労士」西川です。

こちらは、障害年金をもらえる3つの条件の一つである「障害状態該当要件」について、詳しく解説しています。

目次

障害年金をもらうための3つの要件の1つ「障害状態該当要件」

障害年金をもらうには、次の3つの条件をすべて満たしていなければなりません。

①初診日に年金に加入していること(初診日要件)
②年金の保険料を支払っていること(保険料納付要件)
③障害の程度が一定以上であること(障害状態該当要件)

この記事では、障害状態該当要件について詳しく解説していきます。

いつの時点で障害状態に該当していればいいの?

初診日から1年6か月経った日を「障害認定日」といいます。

また、初診日から1年6か月以内に治った(症状が固定し、治療の効果が期待できない)場合は、その日が障害認定日となります。

この障害認定日の時点で障害状態に該当しているとき、障害認定日の翌月分から障害年金がもらえます。

障害認定日以後、3か月以内の病院の診断書を提出します

20歳前に初診日がある場合の障害認定日

ちなみに20歳前に初診日があって、初診日から1年6か月経った日が20歳の場合は、20歳になった日(20歳の誕生日の前日)が障害認定日となります。

20歳前に初診日があって、初診日から1年6か月が経った日が20歳を過ぎている場合は、1年6か月経った日が障害認定日となります。

その他の障害認定日

初診日から1年6か月以内に下記のような日があるときは、その日が障害認定日となります。

部位傷病が治った状態障害認定日
喉頭全摘出喉頭全摘出日
手足人工骨頭、人工関節を挿入置換挿入置換日
切断または離断による肢体の障害切断または離断日
脳血管障害による機能障害初診日から起算して6か月を経過した日以後
呼吸在宅酸素療法開始日(常時使用の場合)
心臓人工弁、心臓ペースメーカー、植え込み型除細動器(ICD)装着日
心臓移植、人工心臓、補助人工心臓移植日または装着日
CRT(心臓再同期医療機器)、CRT-D(除細動器機能付き心臓再同期医療機器)装着日
胸部大動脈解離や胸部大動脈瘤により人工血管(ステンドグラフトも含む)を挿入置換挿入置換日
腎臓人工透析療法透析開始日から起算して3か月を経過した日
人工肛門造設、尿路変更術造設日または手術日から起算して6か月を経過した日
新膀胱造設造設日
遷延性植物状態状態に至った日から起算して3か月を経過した日以後

障害認定日以降に障害状態に該当した場合

障害認定日のときには障害状態に該当していなくて、その後、症状が悪化して障害状態に該当した場合は、その時点から障害年金を請求することができます。

これを事後重症請求と呼びます。

このとき、お医者さんの診断書は、申請前3か月以内の日付のものが必要です。
障害年金の審査が通ると、申請日の翌月分から支給されます。

請求のかなり前から障害状態に該当していても、さかのぼってもらえないため注意が必要です。障害状態に該当したら、可能な限り早く請求することが望まれます。

障害の程度(等級)とは

障害状態該当要件は、障害の程度が一定以上であることです。
ここで「障害の程度が一定以上」とありますが、「障害の程度」とは何でしょうか?

これは、障害がどれくらい日常生活仕事(労働)に影響を与えているかを示すものです。

日常生活」「仕事(労働)」の2つに影響を与えているということが重要です。

ケガや病気があっても、日常生活に影響が少なかったり、仕事をするうえで影響が少なければ、障害年金は支給されません。

障害等級について

「障害の程度が一定以上」の「一定以上」はどうあらわされるのでしょうか?

障害等級というものであらわされます。

日常生活や仕事に影響を与えている度合いの大きさで、障害等級が決まります。
この度合いが一番大きい(日常生活や仕事がより困難な)のが1級で、次が2級、3級と続きます。

障害基礎年金は、1級、2級に該当したときにもらえます。
障害厚生年金は、1級、2級、3級に該当したときにもらえます。

障害年金の種類もらえる等級
障害基礎年金(国民年金)1級、2級のみ
障害厚生年金(厚生年金)1級、2級に加えて3級あり

障害の程度が障害等級3級に該当するときは、障害厚生年金しかもらえません。
このとき、初診日に厚生年金に加入していなければ、障害厚生年金はもらえません。

障害状態の基準

「障害の程度が一定以上」の「一定以上(障害等級)」を決める基準は何でしょうか?

これらの等級は、認定基準で判断されます。

こちらの日本年金機構のホームページに障害認定基準があります。

障害の程度は1級、2級、3級と次のように定められています。

障害の程度1級

他人の介助を受けなければ日常生活のことがほとんどできないほどの障害の状態です。身のまわりのことはかろうじてできるものの、それ以上の活動はできない方(または行うことを制限されている方)、入院や在宅介護を必要とし、活動の範囲がベッドの周辺に限られるような方が、1級に相当します。

障害の程度2級

必ずしも他人の助けを借りる必要はなくても、日常生活は極めて困難で、労働によって収入を得ることができないほどの障害です。例えば、家庭内で軽食をつくるなどの軽い活動はできても、それ以上重い活動はできない方(または行うことを制限されている方)、入院や在宅で、活動の範囲が病院内・家屋内に限られるような方が2級に相当します。

障害の程度3級

労働が著しい制限を受ける、または、労働に著しい制限を加えることを必要とするような状態です。日常生活にはほとんど支障はないが、労働については制限がある方が3級に相当します。

障害の程度1級~3級の参考イメージ

もう少し分かりやすく表現すると、次のように表現されるのかなと私は感じます。参考までに捉えてください。

1級:日常生活を送るのに常に他人の援助が必要。労働はできない。
2級:日常生活を送るのに多くの援助が必要。一般就労は困難で、就労には多くの配慮が必要
3級:日常生活を送るのに時に他人の援助が必要。一般就労に制限があり、一定の配慮が必要

3級は日常生活を送ることはできますが、労働が制限される状態です。
フルタイム勤務は難しい状態、あるいは、軽作業(事務作業など)以外できない状態です。

障害の部位や内容によって基準が決められているため、詳しくは障害認定基準を参照してください。

障害の程度を証明するために必要な書類

障害年金をもらうには、障害の程度を証明しなければなりませんが、では、それをどうやって証明すればよいのでしょうか?

これはお医者さんが書く診断書になります。

診断書には次のようなことが書かれています。

障害の原因となった病気やケガの状態
障害がどの程度日常生活や仕事に影響を与えているか
障害の状態がいつから続いているか

診断書をもとに、障害等級が決定され、障害年金の受給が決まります。

障害の程度が変わったら

障害の程度は、時間とともに変化することがあります。治療が進んで障害が軽くなったり、あるいは悪化したりすることがあります。

障害の程度が変わった場合、再度診断書を提出して障害等級を見直ししてもらうことができます。

障害等級2級の人が、障害状態が1級相当になったとき、あらためてお医者さんに診断書を書いてもらい、申請の審査が認められると1級に変更されます。

逆に、2級の人が、3級に変更されることもあります。

その場合、障害基礎・厚生年金2級をもらっていた人は、障害基礎年金は2級までしかないため、障害厚生年金3級のみ受給できることになります。

障害の程度はきちんとお医者さんに伝えること

障害の程度は、障害等級であらわされ、障害認定基準に則って決められます。

そして、障害の程度を示すものはお医者さんの診断書です。

診断書の内容が障害の実態と異なっていたら?

もし、診断書の内容が、障害の実態とは異なっていた場合、実態は障害状態に該当するのに、障害年金の審査は、障害状態不該当になって、障害年金がもらえない可能性があります

そのため、自分の障害がどれだけ生活や仕事に影響しているかを、診断書を書いてもらうお医者さんに正確に伝えることが大切です。

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