障害年金はいくらもらえる?基礎年金と厚生年金の計算方法を事例付きで解説!

江東区で障害年金の申請サポートをしている「心と福祉とお金に強い社労士」西川です。

こちらでは、障害年金がいくらもらえるのかについて、2つの具体的な事例を元に、計算方法を示したうえで、障害年金が実際にいくらもらえるのかを書いています。

障害年金の具体的な額のイメージをつかみたい方は、ぜひ参考にしてください。

本記事の障害年金額は、すべて令和6年度、かつ昭和31年4月2日以降に生まれた方の場合で算出しています。障害年金の計算は、年度ごとに変わります。

目次

障害年金の額

障害年金は、障害基礎年金(国民年金)と、障害厚生年金(厚生年金)の2つあります。

障害基礎年金は、障害等級1級、2級があります。
障害厚生年金は、障害等級1級、2級、3級があります。

障害基礎年金の金額

まず、障害基礎年金から見ていきます。
1級は、2級の1.25倍の額が支給されます。

等級年金額(1年にもらえるお金)月額
障害基礎年金1級1,020,000円85,000円
障害基礎年金2級816,000円68,000円

子の加算

また、高校生(18歳到達年度の3月31日)まで、もしくは、20歳未満で障害等級1級または2級の障害状態にある子どもと生計維持関係にある場合は、子の加算が受けられます。

子の収入が850万円を超えると子の加算はありません。

高校生までの子ども加算額月額
1人目234,000円19,500円
2人目234,000円19,500円
3人目~78,300円6,525円

障害厚生年金の金額

次に、障害厚生年金を見ていきます。
1級は、2級の1.25倍の額が支給されます。

等級年金額(1年にもらえるお金)
障害厚生年金1級報酬比例部分×1.25+配偶者加算+障害基礎年金
障害厚生年金2級報酬比例部分×1.00+配偶者加算+障害基礎年金
障害厚生年金3級報酬比例部分 ※最低保証額612,000円

障害基礎年金には1級と2級しかないため、障害厚生年金3級の場合、障害基礎年金はもらえません。
但し、障害厚生年金3級のみ最低保証額があり、令和6年度は612,000円です。

配偶者加算

また、生計維持関係にある65歳未満の配偶者がいる場合は、1級、2級のみ配偶者の加算がもらえます。3級には配偶者加算はありません。

配偶者の収入が850万円を超えると配偶者の加算はありません。

配偶者加算額月額
生計維持関係かつ65歳未満234,000円19,500円

障害厚生年金は、年収が多い人や、厚生年金の被保険者期間が長い人ほど、多くもらえる仕組みになっています。
障害基礎年金は、年収や被保険者期間が金額に影響しません。

具体的に事例で見ていきましょう。

ケース1:新卒で就職後、うつ病になり、障害年金を受給するケース

Aさん。25歳会社員。単身。厚生年金加入。障害認定日(初診日から1年6か月経過日)まで3年。平均標準報酬額200,000円。障害は3級相当。

3級相当なので、障害基礎年金は受給できず、障害厚生年金のみとなります。

障害厚生年金の額(報酬比例部分)は次の計算式になります。

平均標準報酬額×給付乗率(5.481/1000)×平成15年4月以降の加入期間の月数

平成15年(2003年)4月以降の厚生年金加入期間の計算式

語句説明解説
平均標準報酬額厚生年金加入時の平均的な収入のことです。
給付乗率給与に応じた計算式で、5.481/1000となります。
応用解説
  • 平均標準報酬額とは、平成15年(2003年)4月以降の加入期間について、計算の基礎となる各月の標準報酬月額と標準賞与額の総額を、平成15年4月以降の加入期間で割って得た額です。
  • 平成15年(2003年)3月以前は、「平均標準報酬月額(賞与含まない)×7.125/1000×平成15年以前の加入期間の月数」で計算します。
  • 給付乗率は、昭和21年(1946年)4月1日以前に生まれた方は異なります。「日本年金機構 年金額の計算に用いる数値 報酬比例部分の乗率」を参照

計算式に数字を当てはめると、下記になります。

200,000円×5.481/1000×36か月=39,463円

さすがにこれは年金額が少ないため、障害厚生年金では、厚生年金加入期間の月数が300か月に満たない場合、300か月(25年分の加入期間)あるとして計算されます。

そのため、次のようになります。

200,000円×5.481/1000×300か月=328,860円

この額は、最低保証額を下回っているため、Aさんが障害年金としてもらえる額は最低保証額の612,000円(令和6年度)となります。月額当たり51,000円です。

Aさんがもらえる障害年金もらえる額(年額)月額
障害厚生年金3級612,000円51,000円

障害等級が2級の場合

もし、Aさんの障害等級が3級ではなく、2級のときは、障害厚生年金2級に加えて、障害基礎年金2級がもらえます。

障害基礎年金816,000円+障害厚生年金328,860円=1,144,860円
月額当たり95,405円です。

障害厚生年金の最低保証額612,000円は3級のみです。1級、2級は、最低保証額はないため、本事例の障害厚生年金は328,860円となります。

Aさんは独身のため、子や配偶者の加算はありません。

Aさんがもらえる障害年金もらえる額(年額)月額
障害基礎年金2級816,000円68,000円
障害厚生年金2級328,860円27,405円
合計1,144,860円95,405円

ケース2:35歳で人工透析を受けていて、障害年金を受給するケース

Bさん。35歳会社員。妻34歳、8歳、5歳の子の4人世帯。障害認定日までの厚生年金加入期間は12年。平均標準報酬額400,000円。障害は2級相当。初診日に厚生年金加入。

2級相当のため、障害基礎年金と障害厚生年金の両方を受けられます。

障害基礎年金は、子2人の加算があります。

816,000円+234,000円(子)+234,000円(子)=1,284,000円

障害厚生年金(報酬比例部分)を計算します。

平均標準報酬額×給付乗率(5.481/1000)×平成15年4月以降の加入期間の月数

障害厚生年金加入期間が12年(144か月)のため、300月に満たず、300月で計算します。

400,000円×5.481/1000×300か月=657,720円

障害厚生年金(1級、2級)には配偶者の加算があるため、加えます。

657,720円+234,000円(配偶者)=891,720円

配偶者加算は、配偶者が65歳未満で、生計維持関係がある場合に適用されます。

障害基礎年金1,284,000円+障害厚生年金891,720円=2,175,720円
月額当たり181,310円です。

Bさんがもらえる障害年金もらえる額(年額)月額
障害基礎年金2級1,284,000円107,000円
障害厚生年金2級891,720円74,310円
合計2,175,720円181,310円

障害等級が1級の場合

Bさんが人工心臓の手術を行って、障害等級1級相当の場合、年金額はどの程度変わるか計算してみましょう。

障害基礎年金

816,000円×1.25+234,000円(子)+234,000円(子)=1,488,000円

障害厚生年金

657,720円×1.25+234,000円(配偶者)=1,056,150円

障害基礎年金1,488,000円+障害厚生年金1,056,150円=2,544,150円
月額当たり212,012円です。

Bさんがもらえる障害年金もらえる額(年額)月額
障害基礎年金1級1,488,000円124,000円
障害厚生年金1級1,056,150円88,012円
合計2,544,150円212,012円

Bさんが自営業(国民年金)の場合

もし、Bさんが会社員ではなく、自営業で国民年金加入だった場合はどうでしょうか。
あるいはBさんが、会社を辞めた後に初めて病院に行った場合はどうでしょうか。

いずれも障害厚生年金はもらえず、障害基礎年金のみになります。

障害等級1級の場合

816,000円×1.25+234,000円(子)+234,000円(子)=1,488,000円

障害等級2級の場合

816,000円+234,000円(子)+234,000円(子)=1,284,000円

Bさんがもらえる障害年金もらえる額(年額)月額
障害基礎年金1級の場合1,488,000円124,000円
障害基礎年金2級の場合1,284,000円107,000円

障害者年金生活者支援給付金

この記事では、障害年金生活者支援給付金(所得制限あり)は省略していますが、障害基礎年金を受給している方が対象となり、1級の場合は月額6,638円(年額79,656円、2級の場合は月額5,310円(年額63,720円)(令和6年度)が支給されます。

障害厚生年金1級、2級の方も、障害基礎年金を受給できるため、支給されます

障害年金生活者支援給付金もらえる額(年額)月額
障害基礎年金1級79,656円6,638円
障害基礎年金2級63,720円5,310円

年金生活者支援給付金とは

年金生活者支援給付金は、令和元年10月1日に消費税が8%から10%に引き上げされたことに伴って、年金受給者の生活保障のために設けられた制度です。

年金生活者支援給付金の請求は、障害年金の請求と同時に行います

【参考】ぼたん社労士事務所で申請サポートをした場合の報酬額

ぼたん社労士事務所で、障害年金の申請サポートをする場合にお支払いいただく報酬は、年金2か月分+消費税となります。受給が決まって、初めて年金が振り込まれてからお支払いいただきます。受給が決まらないときは報酬を請求いたしません。

報酬例

ケース1のAさん(3級)の場合、102,000円+消費税=112,200円となります。
ケース2のBさん(2級)の場合、362,620円+消費税=398,882円となります。

本記事では、遡及(過去の年金をさかのぼって受給・最長5年)した場合の事例は記載しておりません。
遡及時は、ぼたん社労士事務所では、年金額の2か月分(+消費税)か、初回年金振込額の10%(+消費税)のいずれか高い額が報酬となります。
詳細は、下記をご覧ください。

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